民泊?簡易宿所?どっちの方が良い?

目次

はじめに

以前の記事では「民泊の種類」について解説しましたが、実際に宮城県内で民泊事業を検討される際、多くの方が直面するのが住宅宿泊事業法(民泊)旅館業法(簡易宿所)のどちらで申請すべきかという悩みです。

「自宅の空き部屋を活用したい」「空き家を丸ごと収益物件に変えたい」など、目的によって最適な選択肢は異なります。

今回は、特に営業形態でお悩みの方に向けて、それぞれのメリット・デメリットを徹底比較しました。
この記事を読み終える頃には、ご自身のビジネスプランにどちらの許可・届出が適しているかが明確になるはずです。
ぜひ最後まで参考にしてください。

民泊(住宅宿泊事業法)と簡易宿所(旅館業法)の違い

以前の記事でも、民泊と簡易宿所の違いについて触れましたが、改めて重要なポイントを比較表でおさらいしてみましょう。

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民泊(住宅宿泊事業法)簡易宿所(旅館業法)
手続き届出許可
営業日数の制限年間180日以内なし
住宅専用地域での営業可(仙台市は制限あり)不可
設置要件等台所,浴室,便所,洗面設備が備えられ,人の居住の用に供されているもの客室,浴室,便所,その他法令等で定める基準に合致するもの
居室の床面積3.3平方メートル以上(1人あたり)3.3平方メートル以上(1人あたり)
入浴設備男女兼用可男女別(定員10人未満は兼用可)
玄関帳場の設置なしあり(ICT活用も可能)
消防設備の設置ありあり
宿泊者名簿の作成ありあり
宿泊者数等の定期報告あり(2か月に1回)なし
標識の掲示ありなし

比較してみると、一見「民泊」の方が手軽に見えますが、実は収益性物件の場所などによって、選ぶべき正解は180度変わります。

今回は、宮城県内でこれから事業を始める方が、後悔しないためにチェックすべき「3つの重要ポイント」に絞って深掘り解説を行っていきます。

ポイント1 収益性 ~180日の制限と365日フル稼働の差~

まず最初に検討すべきは、その事業でどの程度の収益を目指すのかという点です。
ここで重要になるのが、営業日数の違いです。

民泊(住宅宿泊事業法)の場合

民泊の最大の特徴であり、最大のデメリットでもあるのが年間180日以内という営業日数の制限です。
1年の約半分しか宿泊営業ができないため、残りの185日をどう活用するかが収益の鍵となります。
例えば、「オフシーズンはマンスリーマンションとして貸し出す」といった二段構えの運用が必要になり、管理の手間が増える傾向にあります。

仙台市の場合

さらに仙台市の場合、仙台市独自のルール(条例)があることに注意が必要です。
仙台市内の「第1種、第2種低階層住居専用地域」などで民泊を行う場合、下記のように日曜の正午から土曜の正午までは事業の実施が禁止されております。
つまり、土曜の正午から日曜の正午までしか事業(民泊)が行えないという事になります。

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土曜日日曜日月曜日火曜日水曜日木曜日金曜日

ただし、祝日が土曜日、日曜日又は他の祝日と連続する場合は、連続する機関の初日の正午から祝日最終日の正午までの期間は宿泊が可能となりますので、下記のように変わります。

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土曜日日曜日月曜日(祝日)火曜日水曜日木曜日金曜日

つまり、仙台市のこれらの地域では実質的に週末(土日)しか営業できないことになり、年間180日どころか、さらに少ない日数での運用を余儀なくされます。

「平日は稼働させられない」という前提で、月々のローンや管理費を賄えるのか、非常に慎重なシミュレーションが求められます。

簡易宿所(旅館業法)の場合

一方、簡易宿所にはこうした日数の制限が一切はなく、365日フル稼働が可能です。
仙台市内や観光地など、平日でもビジネス客や旅行客の需要が見込めるエリアであれば、簡易宿所を選択する方が圧倒的に収益性は高くなります。


ポイント1について、それぞれ見ていきましたが、「週末だけ、趣味の延長で貸し出したい」という場合は民泊でも良いでしょう。
しかし、空き家対策や投資として「しっかり利益を出したい」のであれば、仙台市の制限区域を避け、365日営業可能な簡易宿所を目指すのが王道です。
実際、私がご依頼を受けた方も海外からの観光客を連泊で宿泊させたいとの理由から、簡易宿所で事業を行われている方もいらっしゃいます。

もし、既に物件を検討されている方は、その物件が仙台市の「平日営業禁止エリア」に該当するかどうか、まずはそこから確認することをオススメします。

ポイント2 立地(用途地域) ~その場所で許可が取れるか~

収益性が高くても、そもそも「旅館業」が禁止されている区域があります。
そこで重要になるのが、都市計画法で定められた「用途地域」というルールです。

簡単に言うと、「ここは住宅を建てる場所」「ここは商業施設を建てる場所」といった街づくりの区分けのことですが、この区分けによって、旅館業ができるかどうかが厳格に決まっています。

用途地域について

用途地域は全部で13種類あり、下記の通りになります。

・第一種低層住居専用地域
・第二種低層住居専用地域
・第一種中高層住居専用地域
・第二種中高層住居専用地域
・第一種住居地域
・第二種住居地域
・準住居地域
・田園住居地域
・近隣商業地域
・商業地域
・準工業地域
・工業地域
・工業専用地域

民泊(住宅宿泊事業法)の場合

民泊(住宅宿泊事業法)の最大の特徴は、旅館業法では許可が下りない「住居専用地域」でも営業ができるという点にあります。

営業ができる地域
・第一種低層住居専用地域
・第二種低層住居専用地域
・第一種中高層住居専用地域
・第二種中高層住居専用地域
・第一種住居地域
・第二種住居地域
・準住居地域
・田園住居地域
・近隣商業地域
・商業地域
・準工業地域
・工業地域

営業ができない地域
・工業専用地域

上記の通り、法律上は「工業専用地域以外ならどこでもOK」なのですが、前述の通り仙台市では独自の制限(上乗せ条例)がかかる場合があります。

簡易宿所(旅館業法)の場合

対して簡易宿所の場合は、用途地域によって営業できる地域が限られており、下記の地域で営業が可能となっております。

営業可能な地域
・第一種住居地域(3,000㎡以下)
・第二種住居地域
・準住居地域
・近隣商業地域
・商業地域
・準工業地域

ご覧の通り、簡易宿所として営業できるのは、主に「商業系」や「工業系」、または一部の「住居地域」に限られます。

ポイント3 初期コスト ~消防設備とお金の壁~

最後に検討すべきは、開業までにかかる設備投資のコストです。
宿泊事業を始めるには、火災から宿泊客を守るための消防設備が必須ですが、その基準が両者で大きく異なります。

民泊(住宅宿泊事業法)の場合

民泊の場合、一定の条件(家主同居型や小規模なものなど)を満たせば、消防設備が大幅に緩和されることがあります。

  • 主な設備
    住宅用火災警報器の設置のみで済むケースや、特定小規模施設用自動火災報知機設備で対応できる場合があります。
  • コスト目安
    簡易宿所に比べると、初期費用を数十万円程度に抑えられる可能性が高く、スモールスタートに向いてます。

簡易宿所(旅館業法)の場合

不特定多数が宿泊する「ホテル・旅館」と同じ扱いになるため、消防基準は非常に厳格です。

  • 主な設備
    自動火災報知設備、非常用照明、誘導灯、消火器など
  • コストの目安
    建物の構造や広さによりますが、数十万~数百万円の工事費用がかかるケースも少なくありません。

「予算を抑えて、まずは持っている物件を活用したい」という方は民泊から始めるのが現実的です。
逆に、「初期投資をしてでも365日フル稼働させて、数年で投資分を回収する」というビジネスモデルであれば、簡易宿所に軍配が上がります。

消防設備については、建物の延べ床面積や階数によって「何が必要か」が細かく決まっています。
自己判断で進めてしまうと、後から「これでは許可が下りない」と消防署から指摘され、追加工事で余計な費用がかかることもあります。

まとめ

ここまで「収益性」「立地」「コスト」の3つのポイントで比較してきました。
最後に、どちらの営業形態を選ぶべきかの判断基準をまとめます。

民泊(住宅宿泊事業法)が向いている方

  • 副業としてスモールスタートしたい。
  • 物件が閑静な住宅街(住居専用地域)にある。
  • 平日は自分が住んでいて、週末だけ貸し出したい。
  • 初期の設備投資(消防設備など)を最小限に抑えたい

簡易宿所(旅館業法)が向いている方

  • 年間365日フル稼働させて、収益を最大化したい。
  • 物件が商業地域や準工業地域など、旅館業が許可される場所にある。
  • ビジネスとして本格的な宿泊事業を展開したい。
  • 初期投資をかけても、長期的なリターンを狙いたい。

宮城県内、特に仙台市内で宿泊事業を始める場合、法律のルールに加えて「市独自の条例」や「消防署との事前協議」など、専門的な調査が不可欠です。

「自分の物件でどちらの申請が通るのか知りたい」「許可取得までの具体的な費用を見積もってほしい」という方は、ぜひ一度、effort行政書士事務所へご相談ください。

お客様の物件とビジネスプランに最適なルートを、地元の専門家としてしっかりサポートさせていただきます。

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