【要注意】ディーラーの「サービスでの書類作成」は、もう通用しません!〜窓口でのちょっとした書き直しもNG?〜

「いつも通り、サービスで車庫証明を書いておきました」
「窓口で不備を指摘されたので、その場でパパッと直しておきました」

自動車販売の現場で日常的に行われてきたこれらの光景が、今、大きな法的リスクに直面しています。

日本行政書士会連合会が発表した最新の指針では、自動車販売会社の販売員による書類作成や、提出後の「訂正・補正」について、行政書士法違反となる具体的な例が明示されました 。

これまで「無料サービスなら大丈夫だろう」「役所の人に言われたから直しただけだ」と考えられてきた慣習は、もはや通用しません
さらに令和7年12月の法改正により、違反した本人だけでなく「会社」も罰せられるという、極めて重いリスクを負うことになります 。

本コラムでは、何が「違反」とみなされるのか、そして業者の皆様が守るべき「境界線」はどこにあるのか、行政書士の視点から分かりやすく解説します。

目次

車庫証明書の申請業務において行政書士法違反と考えられる例

日本行政書士会連合会の資料では、特に以下の3つのケースが「行政書士法違反」として明示されています 。

1.「無料だからOK」は通用しません

「代行手数料を取っていないから大丈夫」という考えは間違いです 。
販売員が申請書を作成した場合、たとえ無料でも「車両価格や整備代金にその報酬が含まれている」とみなされます 。
つまり、書類作成に関与した時点で、実質的に報酬を得ていると判断されるのです 。

2.「社内データでの作成」もNGです

自社の顧客情報や車両情報のデータベースを活用して、効率的に書類を作成することも避けてください 。
これも「1」と同様の理由から、無資格者による書類作成代行(行政書士法違反)に該当する可能性が非常に高いとされています 。

3.窓口での「ちょっとした訂正」が最大のリスク

意外と知られていないのが、提出後の対応です 。

警察署へ提出した後に、車台番号を書き加える
窓口でミスを指摘され、その場で訂正・補正する

これらは、たとえ警察署の職員から求められた場合であっても、販売員が行うことは認められません 。
行政書士以外の者が書類の内容に手を加えることは、法律違反とみなされるからです 。


自動車の登録業務において行政書士法違反と考えられる例

自動車登録(新規・移転・変更など)の手続きにおいて、販売店の皆様が特に注意すべきポイントは以下の通りです。

1.「サービス(無料)での書類作成」は違法です

「代行費用はいただいていません」という説明は、法律上通用しません 。
販売員が自社販売車両の登録申請書を作成した場合、その手間に対する対価は、車両代金や整備代金などに含まれている(=実質的に報酬を得ている)と判断されます
このため、行政書士でない者が作成することは行政書士法違反となります 。

2.「自社データベース」の活用も作成行為とみなされます

社内の顧客情報や車両情報のデータベースを利用して申請書を出力・作成することも、上記「1」と同じ理由で違反となります 。
単なる事務作業のように思えますが、実態は「報酬を得て書類を作成している」とみなされるため注意が必要です 。

3.運輸支局の窓口での「追記・訂正」は厳禁です

最も実務でトラブルになりやすいのが、書類を運輸支局等へ提出した後の対応です 。

提出後に、足りない情報をその場で「追記」すること
記載ミスをその場で「訂正・補正」すること

これらは、たとえ運輸支局の職員から「ここを直してください」と指示された場合であっても、販売員が行うことは認められません 。
行政書士でない者が官公署への提出書類に手を加えることは、法律違反に該当します 。


【重要】法改正に伴う「両罰規定」への備えと社内教育の進め方

これまで車庫証明や自動車登録業務における注意点をお伝えしてまいりましたが、これらは氷山の一角に過ぎません 。
実は行政書士法の改正)により、自動車販売店の皆様にとって無視できない非常に重要な変更が行われています 。

あらゆる書類に共通するルール

行政書士法では、車庫証明や登録申請書に限らず、官公署に提出する一切の書類や、権利義務・事実証明に関する書類について、同様の厳しいルールが定められています 。

「名目を問わない」報酬の定義が明確化

改正法により、「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言が加えられました 。
たとえ名目が「手数料」ではなく、「会費」「コンサルタント料」「商品代金」といった形であっても、対価を受領して書類を作成することは違法であるという現行法の解釈が明示されています 。
これは、意図せず法に触れてしまうケースを防ぎ、国民の権利利益を守るための措置です 。

「会社」も責任を負う「両罰規定」の改正

今回の改正で最も注目すべきは、「両罰規定」です 。
行政書士でない従業員の方が違反行為(書類作成や無断訂正など)をしてしまった場合、ご本人が罰せられるだけでなく、その方が所属する法人(会社)に対しても100万円以下の罰金刑が科されることとなります 。
万が一、刑罰を受けるような事態になれば、コンプライアンス違反による信用失墜や、大切なお客様が離れてしまうなど、企業経営に計り知れない悪影響を及ぼす恐れがあります 。

安心・安全な店舗運営のために

販売現場の皆様が、行政書士法に関する知識不足から知らず知らずのうちに書類を作成・修正し、会社全体が罰則を受けてしまうことがないよう、今後は販売員の皆様へのしっかりとした教育が不可欠となります 。


今回挙げられた例はあくまで代表的なものであり、記載がない行為であれば違反にならないというわけではありません
すでに一部の窓口では、法改正に先駆けて「本人または行政書士以外は書類記入不可」といった掲示がなされたり、受付時に「作成者確認済」等のスタンプが押されるなど、官公署側のチェック体制も目に見えて厳しくなっています。
少しでも判断に迷うことがあれば、トラブルを未然に防ぐためにも、お気軽に当事務所または日本行政書士会連合会までご相談ください。


まとめ

販売現場の皆様が本来の業務に専念できるよう、法的リスクの回避については専門家である行政書士がお引き受けいたします。
新ルールへの対応について、貴社の実務に合わせた最適な運用方法を共に検討させていただければ幸いです。

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