【石材店様向け】令和8年改正行政書士法で「墓じまい代行」はどう変わった?違法リスクを回避し、本業に集中するための実務ガイド

目次

はじめに:なぜ今、石材店に「法改正」が関係あるのか

墓じまい(改葬)の需要が年々高まる中で、石材店の皆様は「工事のプロ」として、これまで多くのお客様の困りごとを解決してこられたことと存じます。
その際、サービスの一環として「改葬許可申請」などの書類作成をお手伝いされることもあったのではないでしょうか。

しかし、令和8年1月1日に施行された「改正行政書士法」により、その「当たり前」だったサービスが、貴社の経営を揺るがす大きなリスクへと変わりました。

今回の法改正の核心は、行政書士資格を持たない者による書類作成代行への取り締まりが、かつてないほど厳格化されたことにあります。

「これまでもやってきたから大丈夫」
「事務手数料という名目なら問題ないだろう」
「お客様に喜ばれているサービスなのだから」

こうした現場の「善意」「慣習」が、今後は無資格者による独占業務の侵害として、警察の捜査や行政処分の対象となる可能性が高くなっています。

コンプライアンスが重視される昨今、行政手続きの進め方一つで、石材店様としての信頼度が大きく左右されます。
不確かな代行行為によるリスクを未然に防ぎ、貴社が胸を張って『工事のプロ』として専念できる環境を整えることは、今後さらに選ばれる石材店となるための大きな強みになります。

本記事では、この厳しい法改正の中で、石材店様がいかにして自社を守り、同時にこれまで通り(あるいはこれまで以上に)お客様に満足いただけるサービスを提供し続けることができるのか。
その具体的な解決策を、行政書士の視点から分かりやすく解説いたします。


ここが変わった!改正の重要ポイント

令和8年1月1日に施行された改正行政書士法において、石材店・解体業者の皆様が特に注意すべき点は、名目を問わない報酬受領の禁止罰則の強化(両罰規定)の2つです。

まずは、実務に直結する「名目を問わない報酬受領の禁止」について解説します。

行政書士法第19条の文言の変化

今回の改正により、条文にはっきりとした「釘」が刺されました。

旧法
行政書士又は行政書士法人でない者は、業として第一条の二に規定する業務を行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。

改正行政書士法(令和8年1月より)
行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て業として第一条の三に規定する業務を行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。

旧法と比較すると「他人の依頼を受けいかなる名目によるかをと問わず報酬を得て」という文言が加えられていることがわかります。

これまでも、名目を問わず報酬を得て官公署へ提出する書類(改葬許可申請など)を作成することは法律違反とされてきましたが、今回の改正でそれが明確に条文化されました。

石材店が直面するリスク:見積書の「項目」が証拠になる

この明文化により、今後は取り締まりや判断基準がより厳格になります。

  • 「事務手数料」という名目なら大丈夫
  • 「工事費」に含めてしまえば分からない
  • 「セットプラン」だから手続分は実質無料

こうした従来の解釈や言い逃れは、一切通用しなくなりました。
工事の見積書の中に「手続き代行」を想起させる項目や金額が含まれているだけで、行政書士法違反の動かぬ証拠となり得るのです。

罰則の強化(両罰規定の新設)

「名目を問わない報酬受領の禁止」と並んで、今回の改正の目玉となっているのが「両罰規定」の導入です。
これにより、無資格者による代行行為が許容されない、厳格な法令遵守の体制が確立されました。

両罰規定とは?

これまでの行政書士法では、無資格で書類作成を行った場合、処罰されるのは「実際に行為を行った本人(従業員など)」のみでした。

しかし、改正後の新ルールでは、従業員が業務に関して違反行為を行った場合、「実際に行為を行った本人」だけでなく、その雇用主である「会社(法人)」も罰せられることになります。

改正後の罰則(行政書士法第21条の2など)
本人(従業員): 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
会社(法人): 100万円以下の罰金刑(両罰規定)

「知らなかった」では済まされない経営リスク

両罰規定が恐ろしいのは、単に「罰金を払えば済む」という問題ではない点です。

社会的信用の失墜
法人として刑事罰を受けることは、「コンプライアンス違反の企業」というレッテルを貼られることを意味します。
WebサイトやSNSで情報が拡散されれば、新規顧客の獲得は困難になる可能性があります。
提携先(寺院・霊園)への波及
お寺や公営霊園は、法的にクリーンな手続きを求めます。
業者が行政書士法違反で摘発されたとなれば、今後の出入り禁止や、既存の協力関係の解消に直結しかねません。
事業停止のリスク
建設業許可など他の許認可を保有している場合、法人としての刑罰が、他の事業の欠格事由や不利益処分に連動するリスクもゼロではありません。

現場の従業員様は、「お客様の負担を減らしてあげたい」という一心で手続きをサポートされていることと思います。
しかし、令和8年1月以降、その思いやりが予期せぬ法的リスクを招き、会社に大きな損害を与えてしまう可能性があります。
経営者・管理職の皆様におかれましては、社内体制を今一度見直し、「行政手続きは専門家へ」という流れを徹底することが、大切な従業員様と会社を末長く守ることに繋がります。


改正後に石材店様がとるべき「適正な業務フロー」

ここまでの解説で、令和8年の法改正がいかに厳格であり、これまでの「サービスとしての代行」が通用しなくなったかをご理解いただけたかと思います。

では、具体的に明日からの実務において、石材店様はどのような手順で動くのが「正解」なのでしょうか。
法令を遵守し、かつ貴社のリスクを最小限に抑えるための適正な業務フローを解説します。

STEP
ご相談・工事の見積もり(石材店様の役割)

お客様より墓じまいの相談を受けたら、現地調査を行い、墓石撤去の工事見積もりを作成します。
見積書の中に「手続き代行料」を含めにように注意してください。
お客様には「法改正により、行政手続きは専門の行政書士と連携して進める体制になりました」と、ポジティブに説明するのがスムーズです。

STEP
行政書士へのバトンタッチ・受入証明書の確認

お客様の同意のもと、提携する行政書士を紹介し、手続きに関する委任契約を結んでいただきます。
改葬許可申請には、新しい納骨先の「受入証明書(または使用許可証)」が必須ですが、行政書士がこの書類の有無を確認し、未取得の場合はお客様へ取得の督促やアドバイスを行います。
これにより、「書類が足りなくて申請できない」という事態を防ぎます。

STEP
書類作成・申請(行政書士の役割)

行政書士が「埋蔵証明書」の取得、職務上請求による戸籍収集(必要な場合)、そして「受入証明書」を添えて自治体へ改葬許可申請を行います。
書類の精査をすべて行政書士が担うため、貴社のスタッフ様が役所や寺院と何度もやり取りする必要がなくなります。

STEP
改葬許可証の確認と着工(石材店様の役割)

行政書士から「改葬許可証」が発行された連絡を受け、その写しを確認した上で工事に着手します。
許可証がない状態での着工は、墓地埋葬法違反のリスクがあります。
行政書士と連携し、「許可証が届いた=工事Goサイン」というルールを作ることで、コンプライアンスを完全に守ることができます。

STEP
工事完了・返還(石材店様の役割)

墓石を撤去し、更地にして墓地管理者に返還します。

柔軟な対応力:現場の状況に合わせた最適なサポート

ここまで標準的な業務フローを解説しましたが、墓じまいの現場は千差万別です。
「お客様がすでにお寺と話をつけている」「新しい納骨先がまだ決まっていない」など、状況は一つとして同じではありません。

当事務所では、石材店様のこれまでの進め方やご希望、施主様の状況に合わせて、手続きの流れを臨機応変にカスタマイズいたします。

「今回のケースは、どこから行政書士に頼めばいいのか?」と迷われた際は、まずはそのままの状況をご相談ください。
貴社の営業スタイルを崩すことなく、法改正に完全対応した最適な連携の形を共に作り上げます。

寺院様との良好な関係を保つために

墓じまいにおいて、長年お世話になったお寺との関係性は非常にデリケートです。
行政書士が無機質に介入することは、時として住職の感情を害し、工事の遅延や離檀トラブルを招くリスクがあります。

当事務所では、お施主様と寺院様の絆を尊重し、裏方から事務を支えることを鉄則としています。

お施主様による「直接のご報告」を最優先に
私たちは、最初のご報告は必ずお施主様ご自身から直接行っていただくようお伝えしています。
理由:住職にとって、檀家様から直接「感謝の言葉」と共に事情を聴くことが、納得感を得るための最も大切なプロセスと考えているからです。
サポート:お施主様が住職に切り出しにくい場合は、「どのようにお伝えすれば円満に話が進むか」のアドバイスを事前に行います。

行政書士の役割は「事務負担の軽減」
お寺側も、慣れない改葬許可申請の書類作成(埋蔵証明の記入など)を負担に感じることがあります。
行政書士は、あくまで事務作業を代行する専門家として、お寺の手間を減らすことに徹します。
具体的には
・お寺が記入すべき箇所を全て不戦や下書きでわかりやすく整理
・役所への提出期限などを踏まえ、余裕を持ったスケジュールで書類をやり取り
・住職から事務的な質問があった際の、専門的な補足説明

などがあります。

法的境界線(業際問題)への徹底した配慮
行政書士がサポートを行う上で、最も慎重になるべきなのが弁護士法との境界線(非弁行為の回避)です。
当事務所では、法令を遵守し、石材店様やお客様をトラブルに巻き込まないための立ち位置を明確にしています。
行政書士が責任をもって行う「事務サポート」
当事務所は「行政手続きの専門家」として、以下の範囲で円滑な進行を支援します。
・書類の作成と取次ぎ:埋蔵証明書等の発行依頼や、役所へ提出する書類の作成・送付
・事務的な説明:役所のルールに基づいた「手続きの必要性」や「書類の書き方」についての寺院様への解説
交渉や紛争解決(非弁行為)には介入いたしません
以下のような「紛争解決」を目的とした介入は法律(弁護士法)により禁じられており、当事務所でも一切行いません。
・離壇料の減額交渉:お寺に対して金額の交渉や支払条件の調整を行うこと
・反対する住職への説得:墓じまいに反対されているお寺との、法的な権利を主張した交渉
【もしトラブルに発展した場合は】
万が一、金銭面や感情面で強い紛争状態となった場合には、無理に介入を続けず、速やかに提携弁護士への相談を促す体制を整えています。

法令に基づいた正しく安全な手続きを提供することが、結果として石材店様とお客様を守ることに繋がると考えております。


石材店様が当事務所(行政書士)と提携する3つの経営メリット

法改正への対応は「義務」ではありますが、行政書士と提携することは、貴社の経営にとってそれ以上のプラスの価値をもたらします。

① 現場スタッフ様の「心理的・時間的負担」の軽減

墓じまいの件数が年間で限られていたとしても、いざ発生した際の「慣れない書類作成」「役所との往復」は、現場のスタッフ様にとって大きな負担となります。

メリット
面倒な戸籍収集や自治体ごとのルール確認をすべて外注することで、スタッフ様は本来の強みである施工や、他のお客様への営業活動に専念できます。
「あの手続き、どうなった?」と進捗を心配する必要もなくなります。

② 法令遵守(コンプライアンス)による「会社と信用の防衛」

今回の法改正により、無意識の代行行為が「会社全体の罰則」に繋がるリスクが明確になりました。

メリット
「手続きはプロの行政書士が行う」という体制を確立しておくことで、貴社を法的リスクから守り、万が一の際も「組織として適正に運営している」という強い証明になります。
これは、お寺や霊園、大手石材店様との取引を継続する上での「必須の安全策」となります。

③ 三者が納得できる「円満な完了」の実現

墓じまいを成功させる鍵は、法的な不備をなくすだけでなく、お施主様とお寺様、そして石材店様の三者が納得して当日を迎えることです。

メリット
当事務所は、お寺様とのこれまでの関係性を損なわないよう、お施主様による直接の報告を最大限サポートし、事務的な裏方に徹します。
法令を遵守しながらも、お寺様への敬意を欠かさない丁寧な手続きを共に行うことで、工事完了までスムーズなリレーションを維持できます。

【Q&A】石材店様からよくあるご質問

行政書士との連携にあたり、石材店様からよく寄せられるご質問をまとめました。

行政書士を紹介した場合、紹介料(キックバック)をいただくことは可能ですか?

申し訳ございませんが、紹介料をお支払いすることはできません
「行政書士職務基本規則 第15条」において、行政書士が依頼の紹介の対価として金品や利益を供与すること、また受け取ることが厳格に禁止されています。

当事務所では、この職務基本規則を徹底して遵守しております。
紹介料という形での還元はできませんが、その分、「石材店様の法的リスクの徹底排除」「煩雑な書類作成の完全代行」といった実務上の強力なバックアップを通じて、貴社の経営と信頼を支えるパートナーでありたいと考えております。

工事の見積書はどのように書き変えればいいですか?

施行後は、見積書から「手続き代行」といった項目をなくし、工事代金のみを記載するのが安全です。
行政手続きに関する費用は、当事務所が直接お客様へお見積りを提示し、別途ご契約いただく形をとります。
具体的な見積書の記載方法についても、提携先様にはアドバイスを行っております。

お寺との交渉が難航している案件でも受けてもらえますか?

事務的な書類のやり取り(埋蔵証明書の交付依頼など)についてはもちろんサポート可能です。
ただし、離檀料の減額交渉やお寺との法的な紛争(言い争い)への介入は、弁護士法に抵触するため行政書士にはできません。
その場合は、状況に応じて提携弁護士と連携するなど、最適な解決策をご提案します。

すでに進行中の案件からでも相談できますか?

はい、可能です。
どの段階からでも柔軟に対応いたします。
例えば「お客様が書類作成で困っている」「戸籍が集まらずに申請が止まっている」といった状況であれば、すぐにお力になれます。
まずは現在の状況をお聞かせください。

提携にあたって固定費や契約料はかかりますか?

提携そのものに費用は一切かかりません。
案件が発生した際に、その都度ご相談いただく形となります。
まずはいざという時の相談窓口として、お気軽にお付き合いをスタートさせていただければ幸いです。


まとめ:法改正は「選ばれる石材店」へと進化するチャンスです

令和8年1月の改正行政書士法の施行は、これまでの慣習を見直す大きな転換点となります。

「今まで通り」が通用しなくなることに不安を感じるかもしれません。
しかし、コンプライアンス(法令遵守)が厳格に問われるこれからの時代において、「国家資格者と連携し、正当な手続きを徹底している」という事実は、石材店様にとって他社にはない強力な信頼の証となります。

面倒な書類作成や法的なリスクは当事務所が引き受けます。
石材店様は、その分、本業である施工やお客様との絆づくりに専念してください。

法改正を、貴社の信頼をさらに高め、より強固な経営基盤を築くためのポジティブな機会にしていきましょう。

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